~県美をつくるひと~VOL.4
竣工を半年後に控え、開館への期待が高まる鳥取県立美術館。
“とりらぼ”のインタビュー企画『県美をつくるひと』では、県美に携わる方々にご登場いただき、県美への想いを語っていただきます。
第4回目は、鳥取県立美術館パートナーズで建物の設計、工事監理を担当する槇総合計画事務所より、松田 浩幸さんにお話を伺いました。
(※インタビューの内容は2023年7月31日時点のものです)
Q.鳥取県立美術館の建設で担当しているお仕事は?
A.私が担当している業務は建物の設計及び工事監理です。
建物の設計とは、住む人、使う人の顔を思い浮かべ、どのような形であればより良いものになるのかを、出来るだけ具体的に想像し、法律や構造・設備などと整合を取りながら、図面や模型やパースなどに描いていく作業です。使う方々や造る方々など多くの関係者としっかりお話をして、なにが求められているのか、どのように実現するのかを考え、それを様々な方々と一緒になって具現化する仕事です。
Q.お仕事中に心がけていること、意識されていることは?
A. 建物は沢山の方々が関わってつくられ、使われていきます。その沢山の方々の潜在的な声を聞き逃さないように、しっかりとコミュニケーションをとることを意識しています。
使う方々の人柄、敷地の風土や歴史などの文化的な背景を知り、使う方々に心から喜んで頂けるような建物となる様に心がけています。
Q.鳥取県立美術館を設計する上でのこだわりをおしえてください!
A. 鳥取県立美術館におけるデザインのポイントは、美術館の姿です。
大屋根の下に様々な機能と活動が展開する『ひろま』を配置し、『ひろま』を中心とした立体的な空間の繋がりが、美術館全体において様々なアート、文化、ひととの出会いを誘発する創造的な空間となるのではないかと考えています。
その結果、大屋根の下で繰り広げられる様々な活動や人が主役となって建物の外観を彩り、永く愛される美術館の姿となるよう望んでいます。
Q.ズバリ!今のお仕事の魅力とは?
A. 建物が完成してしばらく経って植えた樹々が少し大きく育った頃、利用される方々が工夫をしながら、愛着を持って使ってくださっているところを目にした時にとても大きな感謝と満足感を感じます。
たとえば、私が以前に担当したある大学では、日常的には穏やかな陽だまりの中で椅子に座って本を読むような場所が、地域のお祭りの際には御神輿が並んでいたり、近隣の小学生のブラスバンドのための舞台となったり、設計の時には想像もしていなかった場所が現れて、そこで一生懸命に情熱を燃やしている姿にとても感動しました。そういう人の思いを包み込めるような建築は素敵だなと思います。
Q.美術館の完成を待ち望んでいる皆さんに、メッセージをお願いします!A. 鳥取県立美術館は、開館した時が『建物として生まれた時』だと考えています。『様々なワークショップが行われるひろまなどのフリースペース』、『親子でくつろげるキッズスペース』、『大御堂廃寺跡に大きく開かれたテラス』、『大山や打吹山、倉吉の街並みを見ながらのんびりとくつろげる展望テラス』など、美術館ではありますが展示室だけでなく屋内屋外に様々な場所をつくっています。ご来館された際にはそれぞれにお気に入りの場所を見つけ、この美術館に親しみを持って、永く愛される施設を育てていってください。
そうして美術館が成長していく姿を折に触れて見ることができるなら、それはとても幸せなことだと思います。
インタビューを終えて
美術館としての役割だけでなく、居心地が良く、毎日そこで時間を過ごしたくなるような、思い出の背景となるような建物を目指している、という松田さん。
鳥取県立美術館は開放的な大屋根の下にフリースペースを多く設けており、館内各所様々な視点から倉吉の街並みや山陰特有の風景を楽しめるつくりになっています。
これから徐々に足場が外され、建物の全景が見える日も間近です!
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『県美をつくるひと』シリーズはまだまだ続きます。
これからも美術館に関わる方々の魅力を発信していきますので、乞うご期待!