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【建設現場リポート】堅牢な北側、開かれた南側(2022.11)

秋の日はつるべ落とし。日が暮れるのが早くなってきましたね。トップの写真はある日の夕暮れ、仮囲いの外から見た2階床面のコンクリート打設の様子です。数日後に現場に入ると、しっかり床面が出来上がっていました。

▼緑色の線で仕切られた安全通路

▼踏んではいけない墨出し線

2階床面のコンクリートは、1階の壁面とつながっています。

▼西側の外壁

これまで建設現場で見てきたものは完成後には見えなくなるものばかりでしたが、これは「外壁」です!(※耐候性の高い塗装が施工されます)

▼横目地の下部が先に出来、上部は2階の床と同時に打設。

打設したタイミングが違ってもコンクリートパネルの線はまっすぐに通っています。出隅までしっかり打てていてきれいなコンクリートですね。

▼コンクリートの型枠は通常このような板状ですが、

▼こんなものを見つけましたよ!

コンクリートの円柱です。型枠は12㎜厚のベニヤを圧力で曲げて、円を4分割した状態で組まれています。職人さんの緻密な仕事ですね!

▼トラックヤード(搬入口)

1階のトラックヤード部分は、2階床のコンクリートを支えるための足場が密に組まれていました。これは次世代足場と呼ばれる最先端の仮設資材です。従来のものよりコンパクトで、通路が高く作業性に優れたものです。整然としていて、どこか近未来な印象ですね。

まるで迷路のようです
なんだかかっこいい

この辺りは収蔵庫の下になる部分です。展示室と収蔵庫はすべて2階以上にあり、水害から作品を守ります。この建物では、美術館として重要な「美術品を守る」ための機能を北側に集約し鉄筋コンクリートの堅牢な造りとなっています。

▼エントランスの2階あたり。日射など外乱の影響が少ない建物北側には収蔵庫や展示室が配置されます。

大御堂廃寺跡の芝生広場に開かれた美術館の南側は、ひろまの吹き抜けやガラスの外壁など開放的な空間を実現するため、ロングスパンが可能な鉄骨造を採用しています。ひろま1階の鉄骨柱は鉛直の荷重を支え、地震力といった水平な荷重は北側の鉄筋コンクリートがしっかり支えてくれます。手前の梁は堅牢な北側と開放的な南側を繋ぐ鉄筋鉄骨コンクリート造の部分。

▼開放的なひろまを実現する鉄骨造。キッズスペースの上あたり。


▼2階の床からは柱の鉄筋がにょきにょき

▼「帯筋」と呼ばれるフープを決められたピッチで配筋しています

▼柱の配筋は、広いスペースであらかじめ鉄筋を先組みしクレーンで上げます。下階から上がってきている柱鉄筋と「圧接」を行うことで上階へ組み上げていきます。

▼圧接用のこんな治具でかしめて

▼ガスバーナーで圧接。(先の円いところから火が出ます!)

▼瘤(こぶ)になっているところが圧接部。

圧接部は周囲の鉄筋部分より強度が高くなるように施工します。作業所にて専門協力会社によって強度確認も行いますが、加えて第三者機関で引張試験を行って強度を確認し品質を確保しています。

そして工事が進むのと並行して、様々な検討も進めています。

▼こちらは南側「えんがわ」のガラスカーテンウォールのモックアップ。

実際には左側にガラス面がつづき、ゆるい円弧になる計画です。そのため右側の角は90度よりもやや鋭角。アルミサッシのジョイント部分で、少しずつ角度をつけることで弧を生み出します。

▼本当にほんのりとですが、角度がついているのがわかるでしょうか…
この小さな角度がいくつも連なるとダイナミックな円弧の外壁になるのですね。

建設現場リポート、次回もお楽しみに!


鳥取県立美術館プレサイト


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