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【建設現場リポート】 美術館ならではの設えをキャッチ!(2023.7)

約4000人の方々にお越しいただいた上棟イベントがまだ記憶に新しいですが、あれから早くも2カ月が経ちました。内装工事も着々と進行しており、美術館建築ならではの設えが確認できるようになってきました。今回はその様子をお伝えします。


▼展示室をフレキシブルに区画する可動壁

こちらは県民ギャラリーの可動壁です。幅約2m、高さ約4mの壁は、実際目の前で見るととても大きくずっしりとした印象ですが、天井のレールに沿って軽やかに動かすことができます。展覧会の空間を構成し、鑑賞者の動線をつくったり、小さな展覧会を同時開催できるように区分したりと、美術館の活動を支える大事な役割を担っています。

▼作品を円滑に搬入・搬出するためのトラックヤード


このトラックヤードは県民ギャラリーのすぐ横にあり、4トン車まで入ることができます。作品を安全に、そして効率よく搬入・搬出するために計画されています。

▼2・3階の展示室や収蔵庫へ作品を運ぶ大型エレベーター


2・3階の展示室や収蔵庫へ作品を搬入・搬出する際、要となる大型エレベーターです。幅4m、奥行3.5m、高さ3.5m、そして最大積載荷重4,000kgというとても大きなエレベーターであり、絵画や彫刻だけでなく様々な形態の作品を安全に運べるように計画しています。いざ乗ってみると動いているかどうか分からないくらいゆっくりと昇降し、デリケートな美術品になるべく負荷を与えないようになっています。

▼作品を守る収蔵庫の扉

エレベーターと同様に搬入・搬出を考慮し、収蔵庫にはとても大きな扉があります。鳥取県の貴重な財産である作品を守るという視点で、金庫のように頑丈で精密な扉です。

▼収蔵庫の空調設備

収蔵庫は、長期間にわたって美術品を適切な状態で維持・保存するという重要な役割を担っています。鳥取県立美術館においても、収蔵庫の温湿度を一定に保つための工夫がなされています。コンクリート躯体の外壁の内側にもう一層壁面を設えて空気層をつくり(いわば魔法瓶のような構造)、空気層と収蔵庫内部をそれぞれ空調して温湿度を調整することで、外の環境の影響を受けない構造になっています。収蔵庫の空調は、一般的な吹き出し口からの送風ではなく、ダクト全体からじわりじわりと空気が流れるようなソックスダクトという仕組みを採用しており、場所による温湿度のムラが小さくなるようになっています。

最後に。。。

こちらは鳥取県立美術館の特徴である大屋根の「木ルーバーの庇」の下地骨組みです。現在は結露防止剤を塗布する工程ですが、骨組みの接合点などは作業員さんが一つひとつ手作業で塗られています。この蒸し暑い中、多くの作業員さんの手によって美術館が形作られていく様子には心打たれます。 今しか見ることができない内装工事中の瞬間を、引き続き建設現場リポートを通して、皆さまにお伝えしてまいります。次回もお楽しみに!!


鳥取県立美術館プレサイト