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~県美をつくるひと~VOL.6

“とりらぼ”のインタビュー企画『県美をつくるひと』では、県美に携わる方々にご登場いただき、県美への想いを語っていただいています。
「つくる」という言葉には、モノづくりだけでなく「コトづくり」や「ヒトづくり」など、広い意味が込められています。

第6回目は、倉吉市総務部企画課 美術館まちづくり推進室より、未来の倉吉を描いたジオラマづくりを担当する、木藤 隆親さんにお話を伺いました。

(※インタビューの内容は2023年9月14日時点のものです)

Q.美術館に関わるお仕事で担当されている業務はなんですか?
A.「美術館のために人が動くような仕事」をやっている感じです。
美術館自体は県立ですが、倉吉市にせっかくできる美術館なので、課題解決も視野に入れながら、まちづくりに生かしていきたいと思っています。
倉吉は歴史や文化もあって居心地が良いので、田舎だけどすごく暮らしやすいんです。
でも、変化を期待するパワーやアグレッシブさ、積極性みたいなところを求める人たちにとっては、ちょっと物足りない町になっているかもしれない。美術館ができることで「挑戦するアグレッシブさ」が広がって町が変わっていくと、若者にとってもすごく刺激的だし「倉吉って考え方が柔軟だよね」「常に挑戦してる町だよね」みたいな、そういう町になっていくといいな、と思います。
県立美術館なので、その効果が周辺の町まで波及したり、鳥取県全体に広がったりして、「鳥取県っておもしろい」という感じになってほしいです。

Q.お仕事中に心がけていること、意識されていることは?
A. いろんな人や組織を繋げていくことです。楽しいからお互いに繋がっていける、みたいな感じで、何をするにしても参加者みんなが楽しめる取り組みをしたいと思っていて、巻き込んでいくことは常に意識しています。
こういう仕事をしていると、いろんな夢が広がって、繋がって、思わぬところから発芽していく、みたいなこともたくさんあるので、それが本当におもしろいですね。
ボツになった提案でも、それを諦めずあっためていると、誰かが別の角度からアイデアを出してくれて、そこから急に現実味を帯びてくることもあったりします。
いろんな人の想いや技術、専門的な知識とか、最初はフワフワしていて全然具体化していないんだけど、徐々に寄ってきはじめるというか、引き寄せられるような感じで、勝手につながっていくんですよ。

Q.美術館の開館をきっかけに、倉吉市をどう盛り上げていきたいですか?A.美術館ができることで海外のアーティストやインバウンドのお客さんも増えるし、いろんな国の価値観が入ってくるので、作品をきっかけに「文化を知る」とか「価値観を知る」とか、世界に目を向けてもらいたいですね。「これまで全然興味なかったけど、海外旅行に行きたくなった!」みたいな。倉吉は本当に小さな町なんだけど、アートをきっかけにそういう交流が生まれると、ここに住んでいる「誇り」が生まれるんじゃないかと思います。

Q.美術館の完成を待ち望んでいる皆さんに、メッセージをお願いします!A. たとえば、倉吉市内の中学生がブリロのニュースを見て、最初は「こんな箱に3億もかけるとかようわからん」みたいに思っていたけど、美術の授業でポップアートについて学んで「ウォーホルは今まで考えたことのない問いを自ら作って答えを出したんだ」と思い直したそうなんです。これって、ウォーホルが気付かせてくれた価値観の変化だと思うんですよね。
倉吉に美術館ができていなかったら、こういった変化は生まれなかっただろうし、なんの違和感も持たなかったと思う。3億の価値は市場が決めることだからわからないけど、まだ一度も本物を見たことがない中学生の人生に影響を与えることができた。それだけでも十分価値があったと思います。
だから「誰かがやってる」じゃなくて、みんなで一緒にカウントダウンを迎えたいですよね。「明日の開館が楽しみで眠れない!」というぐらい、一緒にワクワクしたいです。

インタビューを終えて
「美術館だけでなく、倉吉の町ごと楽しんでほしい」という木藤さん。現在は地域のコミュニティセンターや子どもたちと一緒に、未来の倉吉を思い描いたジオラマの制作を進めておられます。
鳥取県立美術館の建設地は、市立図書館や複合文化施敷設・倉吉未来中心などが集まる、倉吉パークスクエアの一角です。元々は市営ラグビー場があった敷地ですが、広々とした空間を臨む立地を生かして、町とのつながりを生む構造になっています。
建設工事は佳境を迎え、いよいよ最終仕上げに突入です!

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『県美をつくるひと』シリーズはまだまだ続きます。
これからも美術館に関わる方々の魅力を発信していきますので、乞うご期待!