県民みんなと対話ログ:とっとり県美応援団総会(2021.4.25)での講演-美術館計画について
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県民みんなと対話ログ:とっとり県美応援団総会(2021.4.25)での講演-美術館計画について

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「県民みんなとの対話ログ」シリーズはじまります。

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鳥取県立美術館整備運営事業は「県民みんなでつくる」機会を大切にしており、開館準備期間中から県民の皆さんと対話の場をつくって進めています。
そんな皆さんとの対話の記録を「県民みんなとの対話ログ」シリーズとしてご紹介!
県内各地での対話の様子をアーカイブしていき、参加できた人もできなかった人も共有できるホワイトボードのようなメモとして活用してもらえたら嬉しいです。
※書き手は関係者の場合が多いですが、いち参加者・いち県民の目線でお伝えしていきます。
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講演会の様子

2021年4月25日、美術館建設予定地の道路挟んで向かい側にある上灘公民館で、とっとり県美応援団総会が開催され、そのなかで鳥取県立美術館についての講演がありました。

会の冒頭で佐伯団長から「県内では感染急拡大警戒期間が発令している中、直前まで開催の是非を悩みました」とあるなか、感染予防対策も万全に集まった皆さんの、総会の進行や各活動の相談に加え、オンライン会議システムでの講演に熱心に参加されていた姿は印象的でした。

講演テーマは「鳥取県立美術館に向けて―建築の公共性について―」。
美術館の設計を担当している槇総合計画事務所・長谷川取締役副所長から、これまでに携われた国内外の建築プロジェクトの一例を通じて設計の考え方を、次に鳥取県立美術館の建物の特徴や込められた想いを、分かりやすく温和な雰囲気で展開されました。

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槇総合計画事務所が取り組んできたプロジェクト紹介

前半の国内外の建築プロジェクト紹介では、あたかも海外旅行の気分も味わえるような各地の写真と共に、『たくさんの人が関わるような建物を考える際、できるだけ多様な空間をつくること、人と文化・人と人との関係性をつくりだすことが重要』であると始まり、大学の研究施設・博物館・美術館と商業施設の複合施設やコミュニティセンター・公園併設トイレと多岐にわたる事例がありました。

そこから「各部屋から互いに活動が見えることで関係性が生まれるきっかけとなる」「多様な空間をつくり研究者の創造性を高める」「周辺の町並みや自然環境との調和」「博物館にテラスを設けて子どもたちが屋外環境を活かしたプログラムを可能とする」「自由に入れるオープンスペースをできるだけ設ける」「色味や動線で直感的に分かるようにするとともに、防犯面にも配慮」など工夫や意識された点を聞き、鳥取県立美術館にも通じる点を多々垣間見たように感じました。

※余談ですが、講演会会場の演題垂れ幕ですが、とっとり県美応援団に参加されている書家の方が作成されたとのこと。力強い筆の運びに、一段と会に華やかさを添えていました。

鳥取県立美術館の紹介

後半の鳥取県立美術館の紹介では、気軽に立ち寄れる「敷居の低い」美術館と県立施設としての「品格」を備えた美術館を両立するための工夫を、パースやCG動画もあり、参加者からは「具体的にイメージできるような説明で、わくわくし楽しみです。」と感想を頂きました。

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(イメージ)配置の考え方。水害被害など作品を守るため、展示室・収蔵庫を2階北側に配置。利用者に開かれた空間は1階に配置して入りやすい雰囲気に。

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(イメージ)3階展望テラスほか、大御堂廃寺跡を望む屋外オープンスペースが充実。

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(イメージ)講演会の様子

建築と人との関わりに触れた話題では、空間をつくる「ものを創る」段階と、社会との関わりを通じて「価値をつくる」段階があり、竣工時がゴールではなく運営期間を通じてとっとり県美応援団の皆さんのように、そこで行われる多様な活動が館内にとどまらず、まちにも広がっていくことで地域の魅力も高まっていくと話され、質疑応答も含め、運営における建築のあり方も大切にされていることが伝わってきました。

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(イメージ)美術館の活動がまちに染み出し、イベント等エリア全体に賑わいが生まれているイメージ。


会場との質疑応答

〈Q〉SDGsも話題になっているが、建築で環境配慮している点やユニバーサルデザインで意識した点は?
〈A〉地下水を利用して自然エネルギーで熱交換を行うしくみを採用しています。また、ひろまのような空間でも人がいる場所を集中して空調を効率的に行うようにしており、できるだけ省エネになるようしくみを入れています。
ユニバ―サルデザインの点については、一例ですが、フロアごとでレベル差を設けないようにし、出入りがどなたでも自由にできるようにしています。


〈Q〉県民が自慢のタネにできるような、これまでにない施設の特徴は?
〈A〉むずかしいご質問ですね(笑)常にこれまでにないものを建てようと考えて設計していることを前提に、以下4点。
・大御堂廃寺跡の存在(歴史的にも価値があり景観としても魅力的な場。そこを望む展望テラスやひろまの配置)
・ひろま、えんがわ、テラスと、屋内外で人が集い活動する場がある
・コミュニティの場にもなる
・県の持つコレクションを見る常設の場となる
そのような多様な空間での活動を通して、アートや人と出会えるような施設を目指しています。


〈Q〉大屋根の特徴は?
〈A〉平たい屋根は雪の多い地域のため、落雪して事故が起きないよう、しっかり屋根に雪を載せて安全性を保つため。また展望テラスの屋根部分は、1階まで光が入るようになっており、行ってみたいと思ってもらえるようになっている。
⇒「雪を落とさないことの方が安全という考え方は、初めて知りました」と驚かれていました。


〈Q〉柱が細いように感じるが建物の強度について教えてほしい。
〈A〉地震だけでなく強風にも耐えられるように展示室の壁全体でも支える構造となっており、垂直方向・水平方向どちらの揺れにも耐えうる強度があるので、ご安心ください。
⇒「それなら安心です(笑)」と会場は笑顔に包まれました。

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(イメージ)槇総合計画事務所の長谷川さん。明快さと温和な語り口が印象的でした。

〈Q〉鳥取県らしさをどう表現されていますか。
〈A〉よく聞かれる関心の高いご質問だと思います。いつも一言では表現できないと感じています。ここにしかないない建物をつくることがまず第一歩、建物ができたことがゴールではなく、使われていくなかで“らしさ”は形作られていくものではないか。
建築としてそのきっかけとして、居心地の良い空間をつくっておくこと、周囲の環境(町並みや自然)と積極的につないでおくことが条件だと考えます。倉吉市役所の水平方向の空間展開・つながりは日本の建築空間のあり方として魅力的なので、継承していくことは意識しました。


〈Q〉長谷川さんの思う鳥取らしさにイメージカラーがあれば教えてほしい。

〈A〉パースをご覧になると木の色以外「白」のイメージをお持ちになる方が多いと思われます。それは美術館の主役はアートであり活動する人々の姿なので、建物はあくまで背景として落ち着いた印象を大切にしました。

むすび

あっという間の1時間に、会場から「完成が楽しみです」「わくわく楽しみとなり、それに向かって活動していきたい」と嬉しい声も上がり、拍手のなか、お開きとなりました。

令和2年度には同様に18回ほど県内での説明会等に参加し対話をしてきました。そこではどんな美術館になるのか空間や運営など幅広くご質問をいただき、関心を持っていただいていることが伝わってきました。今後も社会情勢によって直接的な対話とオンラインシステムを掛け合わせて、県の東部・西部地域でも機会をつくっていく予定です。

おしらせ

◆施設整備計画についてもっと知りたい!という方は、長谷川さんがナレーションを入れている動画もおすすめです。

鳥取県立美術館の施設整備・運営の計画【前半・施設整備編】(鳥取県教育委員会公式Youtube)

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鳥取県立美術館の公式noteです。 鳥取県立美術館のビジョンや想いが伝わるように、プレサイトから開館準備にまつわるじっくり読んでほしい選りすぐり(?)のストーリーを、広報担当がマゴコロこめてお届けします。