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~県美をつくるひと~VOL.3

上棟を無事に終え、ついに美術館のかたちが姿を現しました。
“とりらぼ”のインタビュー企画『県美をつくるひと』では、県美に携わる方々にご登場いただき、県美への想いを語っていただきます。

第3回目は、鳥取県立美術館パートナーズ㈱で建築業務を担当する竹中工務店より、宇都宮 淳さんにお話を伺いました。

(※インタビューの内容は2023年6月08日時点のものです)

Q.県立美術館建設で担当しているお仕事は?
A.内装工事全般と設計者・監理者協議対応を担当しています。
現在は躯体工事から仕上工事へと切り替わるタイミングなんです。
仕上工事は主に外装・内装とありますが、担当しているのは内装工事です。私は初期段階から本工事に関わっているため、外装についての問い合わせにも随時対応しています。

Q.お仕事中に心がけていること、意識されていることは?
A.調整事が発生した際、可能な限り関係者全員がwin-winの関係になるように調整することです。
建物を作っているのはみな職人さんであり、真面目な方が損をすることが決して無いよう、前述の関係を意識して日々調整を行い、工事を進めています。

Q.職場で印象に残ったエピソードや裏話はありますか?
A.美術館の現場ということで、朝礼看板の作成にこだわりました。
工事現場の朝礼看板は現場の「顔」的な存在なので、来場者が建物の完成形を容易にイメージ出来るように建物の全景パースを大きく貼ることにしました。

我々のように工事に携わっている人間であれば、図面を見ているため出来上がりをイメージすることができますが、なかなか初見の来場者の方が今回の建物の特徴的な形をイメージするのは難しいと思ったので、先端が尖った大屋根形状や丸柱を表現するなど3D仕様で作成しました。
他にも、安全面の対策として墜落検討や強風時の倒壊検討なども行っています。

高さの設定についても行っていて、200名程度の職人さんが集まっても、後ろの方から登壇者の姿が見えるような朝礼台の高さにしたり、夏季に日除けシートを掛けた場合でも工事車両がシートの下を通れるような屋根高さにするなど、様々な要素を考慮したうえで実物の1/5スケールで朝礼看板を作ることにしたんです。
3階の展望テラスにある吹き抜け部分のテント屋根もつくろうかと思ったんですけど、それはさすがにやめました。(笑)

Q.上棟記念イベントの思い出を教えてください。
A.前日まで荒天で来場者の想定が出来ませんでしたが、当日は天候にも恵まれ、4000名もの方が来場されました。知り合いが沢山来てくれていましたが、ゆっくり話をする暇もないほど忙しく、嬉しい悲鳴でした。
また、餅撒きの際にはお餅を投げる役もやらせてもらいました。
家族も来ていましたが、人波にまぎれてどこにいるのか分からず、帰宅後「こっちに投げてよ!」と子どもに怒られました。(笑)

Q.美術館建設現場の魅力とは?
A.今回の工事はRC造、S造、SRC造のハイブリット構造であり、1フロアの階高が高いうえ、躯体形状もとても複雑である難易度の高い工事です。
施工管理は大変ですが、その反面、出来上がった際の感動はひとしおです。
注目度の高い建物というのは勿論ですが、完成後に中に入れる建物を作っているというのも魅力です。
ビルや工場など、多くの建物は竣工後に企業者個人の所有物になることが多いため、いつでも自由に建物内を見に行くことができません。
開館後には自分の家族を連れて、ずっと倉吉で活き続ける美術館を見に、何度も足を運びたいと思っています。

Q.美術館の完成を待ち望んでいる皆さんに、メッセージをお願いします!
A.日中、外部足場を歩いていると、近隣の方から「がんばってー」と声を掛けていただいたり、手を振ってもらったりします。イベントや見学会も毎週のようにありますが、応援や激励の言葉をいただきます。
こうした暖かい声を聞くと、決して楽な工事ではありませんが、すごく励みになると共に、やり甲斐にもなっています。
まだまだ工事中の建物を見られる機会はあると思うので、建物の出来上がっていく過程を是非見に来てください。

インタビューを終えて
建物の中で一番のおすすめポイントは屋外階段だという宇都宮さん。
県立美術館では3階の展望テラスと2階テラスを行き来できるよう屋外階段が設置されており、南側の開けた空間を見ながらフロアを移動できるのが特徴です。
次第に外観が見えはじめ、開館が待ち遠しくなりますね。

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『県美をつくるひと』シリーズはまだまだ続きます。
これからも美術館に関わる方々の魅力を発信していきますので、乞うご期待!