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~県美をつくるひと~VOL.18

『県美をつくるひと』では、インタビューをもとに、県美に携わっている方をご紹介し、県美への想いを伝えていきます。
今回は、鳥取県立美術館の美術館ボランティア「TMOA+」*1の一員である坂本千紘さんにお話を伺いました。
※インタビューは2024年10月21日時点のものです。

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気軽に通える場所に美術館ができることがうれしかった

普段はフリーランスでIT関係の仕事をしています。美術館ができることはニュースで見て知りました。大きな美術館だと一番近いところでも兵庫、島根ぐらいまで行かないとなかったので、鳥取にもやっとできるんだ!とうれしかったです。県立博物館があるとはいえ美術館はなかったので、できたらいろいろな展覧会をしてくれるんだろうな、と期待しています。私が美術館へ行ったのは大学生のときが初めてでした。住んでいたところは兵庫の田舎のほうだったので、近くに美術館はなくて、それまで行ったことがなかったです。ただ、父の趣味で家に画集が置いてあり、日常会話で絵画の話をする環境だったので、気づいたら自然と美術が好きになっていました。初めて美術館に行った時、ずっと画集で見ていた作品の実物を見ることができて、そのサイズ感や美術館の空気を体感し、美術作品や美術館にさらに魅力を感じるようになりました。今では趣味で、作品をハンドメイドのアクセサリーにしたりしています。

何かしらで美術館に関わりたい!と思ったときにTMOA+の募集を発見

美術や美術館が好きだったので、鳥取に美術館ができると知った時は、何かしら関われないかな、と思っていました。そんな時に、県立博物館で「TMOA+募集」のチラシを見かけて。すごく悩んだんですけど、できたての美術館に、しかも資格も何も持ってない自分が関われるチャンスってあんまりないなと思って。やるしかないな!と決心しました。悩んだというのは、一応仕事をしているのでどれくらい自分が参加できるかというのと、ボランティア自体に参加したことがなかったので、右も左もわからなかったからというのがあります。でも、募集のチラシから「気軽に誰でも参加できる」ということが伝わってきたので、意を決して応募しました。

TMOA+としては、清掃活動など何でも関わりたいと思っていますが、5年間保育士をしていた経験を活かしつつ、ワークショップなどにも参加できたらよいなと思っています。早速9月には、TMOA+のプレ活動として鳥取県立美術館の開館半年前カウントダウンイベント「からっぽの美術館をあそびつくそう!」*2に参加しました。たくさんのワークショップが開催され、大勢の人で盛り上がり、私は絵しりとりのブースを担当していたのですが、子どもたちから大人の方々までいろいろな人と関われたことがとても楽しかったです。めちゃくちゃ疲れたんですけど(笑)、一日が終わった後にその日を思い出して、“楽しかったな”という気持ちが一番大きかったですね。一緒にボランティアをされていた方々はこれまでも経験のある方たちだったので、安心して参加できたというのもあると思います。もともと緊張しやすいタイプなんですが、その日は緊張せずにみんなと楽しめました。

作品に出会うことで、自己表現の選択肢が増えていくのでは

絵自体が、表現方法のうちの一つだと思うので、子ども達には美術に触れて、自己表現の一つにこんなものがあるんだっていうことに気づいてもらえたらいいのかなと思います。気づくことで、その子の人生が少しでも豊かになるのかなって。例えば自分の気持ちを言葉にするのが苦手な子でも、その子が自分を表現する方法の選択肢が広がれば、救われることもあるんじゃないのかなと。

初めて行った美術館で苦い思いをしたらその後行きたくなくなったり、苦手意識を持ってしまいそうなので、初めは半年前カウントダウンイベントみたいなちょっとした楽しめるところから美術や美術館に触れていくのは、アプローチとしてちょうど良いな、と思いました。

ふらっと行ったり、展示を見たり、これから素敵な空間に

人と関わるのが好きな反面、一人の時間も好きなので、美術館はそんな一人の時間を過ごす空間として理想的な場所だなと思っています。特に目的はないけどふらっと行って、ぼーっとして、その時にたまたま開催されている展覧会を見て帰る、そんなことがしやすい空間になったらいいですね。一方で、来館する目的になるような大きな展覧会をやっていたら、遠くから来られた方が鳥取県立美術館を訪れるきっかけになるのかなとも思います。展覧会を目的とする人とそうでない人、どちらのニーズにも応えられるような空間になるといいな、と勝手に思っています。

スタッフの方々も着々と準備を整えていて、建物を含めてだんだん素敵な美術館ができつつあるなと感じています。これから館内にはカフェとミュージアムショップができて、美術館西側にもさらにもう一つカフェができる!私自身、開館をとっても楽しみにしています。きっと素晴らしい空間になるので、みなさんにもぜひ来てほしいです。TMOA+もこれから頑張って研修を受けてみなさんを迎える準備をして待っています!

*1 TMOA+・・・「みんなでつくる美術館」実現のためのボランティア制度です。2024年9月末に募集を締め切り、290名を超える方にご登録いただきました。今後研修が始まり、美術館の活動のさまざまな場面に関わっていただきます。

*2 半年前カウントダウンイベント・・・2024年9月28日に鳥取県立美術館で開催されたイベントです。日中は気軽に参加できるワークショップを多数開催。TMOA+の方々にもご協力いただき、1日6,000人の来場者がありました。

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『県美をつくるひと』シリーズでは、今後も美術館に関わる方々の魅力を発信していきます!